2024.06.20
NEMO / CODA(ニーモ / コーダ)レビュー:初めての山岳用シュラフはこれ一択!!
こんにちは。STRIDE LAB OFFICIAL のニシカワです。
夏山シーズン目前で、今年こそテント泊に挑戦したい!と思ってる方も少なくないのではないでしょうか?
テント泊の山行となると、いつもの日帰りや小屋泊の山行の装備に加えて、いくつかギアを新調する必要があります。
例えばシュラフなんかもその一つ!
ということで本日は、常に革新的なアウトドアギアを提供しているNEMOより、山岳用シュラフ「CODA(コーダ)」のご紹介です。
突然ですが皆さんが山岳用のシュラフを選ぶ上で大事にしてるポイントはなんでしょうか?
「軽さが欲しい!」「コンパクトになるのが良い!」「丈夫で長持ちする奴が一番!」「なんだかんだコスパが大事!」
などなど様々で、そのどれもが間違いじゃないと思います。
ただ、シュラフを使うそもそもその目的はなんなのかを考えると、当たり前ですが「寝る」ためですよね?
となると普段通り寝るための<快適性>こそが、シュラフにとって最も大事な要素と言えるのではないでしょうか?
今回ご紹介する CODA は、正にそんなことに気づかせてくれるような山岳用シュラフ。
初めての山岳用シュラフとしてこれ以上のものはないんじゃないか?と言っても過言ではないくらい、スペックとフィールドでの快適性のバランスが素晴らしいオススメシュラフです!
ということで本ブログでは、シュラフを選ぶ上での基礎的な知識をおさらいしつつ、今回紹介する CODA の快適性がどういったところにあるのか詳しく見ていきたいと思います!!
・NEMO製品の良さが知りたい
・シュラフ選びのポイントが知りたい
・山行では快適さを重視したい
シュラフの基礎知識
アウトドアの環境で快適な睡眠を確保するためには、適切なシュラフ選びが不可欠です。
様々な種類や特徴がある中で、使用環境や個々のニーズに応じた選び方が重要です。
ということで、まずはCODAをレビューする前にシュラフについての基礎知識をおさらいしておきましょう!
シュラフの形状
シュラフの形状は大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 封筒型 長方形の上から下まで同じ幅のタイプ
- マミー型 ミイラの棺のように足先にいくに従って細くなるタイプ
- キルト型 フードがなく背中部分のダウンが省かれているタイプ
ものすごくざっくり言うとこんな感じ。
どの形が絶対に良いということはなく、それぞれにメリットデメリットがあるのでまとめてみました。
形状 | 封筒型 | マミー型 | キルト型 |
メリット | ・足が自由に動かせて比較的広々した寝心地
・家で寝るのと似た感覚で寝れる |
・頭部から足先までフィットするため保温性が高い
・軽量コンパクトなモデルが多い |
・背中が開いている分軽量
・温度調整がしやすい |
デメリット | ・空間ができるため保温性に劣る
・嵩張る |
・寝返りが打ちにくい
・熱がこもりやすい |
・セッティングの手間がかかる
・保温力はマットの形状や性能にある程度依存する |
断熱材の種類
形状とは別に、断熱をするための中に入っている綿にも種類があります。
- 化繊 人工的に作られたポリエステルやナイロンなどの合成繊維
- ダウン アヒルやガチョウなど水鳥の胸部や腹部から取れる羽毛

こちらも素材によって一長一短ですので表にまとめてみました。
種類 | 化繊 | ダウン |
メリット | ・水分を含んでも保温性に影響がでにくい
・洗える ・価格が抑え目のモデルが多い |
(化繊と同じ重量比で見た時に)
・暖かい ・軽くてコンパクトになる |
デメリット | ・重たく、嵩張るモデルが多い
・(ダウンと比べて)通気性に劣る |
・濡れると保温性を失う
・(化繊と比べて)価格が高い |
山岳用としてだと軽量で暖かいダウン素材が一般的ですが、化繊ならではの水濡れの心配がいらない安心感や耐久性の高さも魅力的。最近では比較的軽量な化繊モデルも増えてきています。
ご自身のスタイルに合わせて最適なものを選んでみましょう!
シュラフの温度規格
シュラフには形状や素材の違いと同様に「対応温度帯」の違いというものが存在します。
こんな感じで温度表記が並んでいるのを見たことありますよね?
これは「このくらいの温度に使うのにオススメですよ〜、これより低いとしんどいですよ〜」というのを示す指標になっています。

と思う方も少なくないかもしれませんが、オーバースペックなものだと無駄に重たくなったり暑苦しくて寝れなかったりなんてことも。
快適性に加えて、使用回数を減らして長持ちさせるという意味でも夏用と3シーズン用くらいは最低でも分けて持っておくのがオススメです!
EN(ヨーロピアンノーム)規格ってなに?
ちなみに上の画像の温度帯の表記はどうやって決めてるのか気になったことはないですか?
寒さを感じるのって本当に人それぞれなので一概にこれはこのくらいまで耐えられるって定義するのが難しいですよね。
だからといって各社が勝手に基準をバラバラに決めたら使う側としては困ってしまいます。
そこで統一した指標として欧米を中心として各社が採用しているのがこのヨーロピアンノーム!(EN13537 / ISO23537)

EN規格の温度表記には3つ種類があって、それぞれが以下の定義となっています。
- 快適使用温度(COMFORT)
一般的な成人女性が寒さを感じることなく寝ることができる温度域 - 下限温度(LIMIT)
一般的な成人男性が丸まった姿勢で8時間、目覚めることなく眠れる温度 - 極限温度(EXTREME)
標準的な女性が低体温症で死亡することなく6時間過ごせる最低温度
これはどうやって測っているかというとベースレイヤーを着せたマネキンをシュラフの中に入れて各部の温度を測定しています。
身長173センチ、体重73kg、年齢25歳を「標準男性」
身長160センチ、体重60kg、年齢25歳を「標準女性」として認定しています。
このような測定方法をとることで客観的な比較が可能となっていますが、それゆえに以下のような注意点もあります!
欧米人が基準
一般的にアジア人は欧米人に比べると寒さに弱いと言われています。
なので下限温度までまだ余裕があるからと鵜呑みにしすぎると寒くて寝れないということもしばしば。
シュラフを選ぶ際は下限温度からプラス3度くらいを基準にしておくほうが安心です!
体から出る水分による保温性の低下が考慮されていない
マネキンは汗をかかないので、極端な話ライニングに熱がこもりやすい密な生地を使用すれば温度帯を下げることができます。しかし実際生身の人間がそれをフィールドで使ったら蒸れてしまって寝苦しいどころか水分によて保温性が下がります。
就寝時の姿勢や快適性を想定していない
マネキンピッタピタのシェイプで作れば保温性が高くなり、結果として良い数値が出ます。
以上のようにEN規格の数値はあくまで基準であってフィールドでの快適性とは別の話ということ。
数値などのわかりやすいカタログスペックに目を向けてしまいがちですが、実際にフィールドで使ってみてどうなのか?ということをしっかり考えて選ぶ必要がありそうですね。
NEMO / CODA レビュー
基本スペック
モデル | CODA EP 10/20 Regular | CODA EP 25/35 Regular |
最小重量 | 1.1kg | 700g |
快適使用温度(COMFORT) | -5℃ | 3℃ |
下限温度(LIMIT) | -12℃ | −2℃ |
収納サイズ | 29cm × φ18.5cm | 26cm × φ18cm |
適応身長 | ~183cm | |
中綿 | 800FP 撥水加工済ダウン(RDS認証・PFASフリー)690g | 800FP 撥水加工済ダウン(RDS認証・PFASフリー)323g |
シェル素材 | 100%再生ポリエステルリップストップ 耐久撥水加工済(bluesign®認証・PFASフリー) | |
ライニング素材 | 100%再生ポリエステルタフタ 耐久撥水加工済(bluesign®認証・PFASフリー) | |
フットボックス素材 | 100%再生ポリエステル耐久撥水加工済、防水透湿性素材(bluesign®認証・PFASフリー) |
使用できる温度帯の違いで2つのラインナップに分かれます。
25/35 は下限が−2℃で春先から夏のアルプス、晩秋の低山くらいまではいけそうな3シーズンモデル。
10/20 は下限が−12℃まで対応可能な冬も見据えたモデルという位置付けですね。
いずれのモデルも収納に便利なコンプレッションサックと保管用のストレージサックが付属しています。
CODAの特徴
基本的なスペックがわかったところで細かいディテールを見ていきましょう。
CODAはNEMOの数あるシュラフラインナップの中でも、山岳用途に求められるスペックを網羅した軽量シュラフという位置付け。
とはいえ冒頭でもお伝えした通り、実際にフィールドでの寝る時の快適性に重きを置いているというのは
効率を重視したテーパードシルエットデザイン
CODAは軽量性を意識して、無駄を削ぎ落としたマミー型のデザインとなっています。
マミー型というとストイックなイメージで寝心地の悪さを懸念される方もいると思いますが、さすがNEMOのシュラフ、快適さが違います。
実際に入ってみると一般的なマミー型と比較して適度にゆとりがあり肩周りだけでなく全体的に寝返りを打つだけの十分なスペースを感じます。
もっとシェイプをキツくすれば軽くもできるし温度帯もさらに下げられるのにそれをせず、マミー型であっても快適性を損なわないようにしているところにNEMOのこだわりを感じます。
無理なく肘が張れるくらいのゆとりがあります。寝返りもバッチリ!
フットボックスから下半身にかけてもテーパードがかかりながらも適度にスペースがあり、無理なく座りの姿勢がとれました。
800FPの撥水ダウン
中綿には 800FP(フィルパワー) のダウンを採用しています。
大体600FPくらいで高級ダウンと言われる中でそれをはるかに超える800FPをしっかりと詰め込んでいます。
さらにダウンの弱点である水濡れを防ぐために 撥水コーティング済み 。もしもの時もある程度はロフトを保ってくれます。
また上半身と下半身で 縦横2方向のユニークなバッフルデザイン を採用しています。
大体全部横にステッチが走るデザインが多いですが、横方向だと寝ている間に寝返りなどでダウンが偏ってしまい、ダウンが少ない所謂「コールドスポット」ができてしまう事も。
それを極力防ぐために動きが大きい上半身部分は縦方向にステッチを入れています。

快適性を重視した素材使い
本格的な山岳向けモデルであってもCODAは寝心地の良さを犠牲にしていません。
ライニングには 肌触りの良いタフタ素材 を使用。
タフタ素材について補足すると、高密度に織り上げた平織りもので、品のある光沢感とドレープ感が出るのが特徴的です。
さらっとした手触りもあるためジャケットの裏地やスカート、ウェディングドレスにも使用されています。
汗ばんで少し湿気を帯びた状態でも透湿性がある為、さらさらした状態をキープして快適に寝ることができます。
また、 頭部分とフットボックス部分には防水透湿性素材 を使っているため、結露したインナーやフライに当たってしまうような状況でもロフトを失う心配がありません!
冷気の侵入を防ぐドラフトガード
ジップの部分から入ってくる冷気を防ぐため、中綿の詰まった帯状のドラフトチューブがジッパー側面についています。
さらにCODAでは ヘッドウォールドラフトガード™といって、側面だけでなく首回りにもドラフトカラーが付いており、タートルネックのように360℃首回りをしっかり包み込み冷気の侵入を防いでくれます。
細かい温度調整が可能なベンチレーション機能
シュラフで寝ているときに、意外と熱がこもって寝苦しかった経験って皆さんありませんか?
暑いからジッパーを開けるんだけど、そうすると冷気が一気に入ってきて身体が冷えるからジップを締める。暑いから(以下、繰り返し)

そんなときに便利なのがNEMOのシュラフに搭載されている サーモギル™ 機能!
エントリーと別箇所に付いてるジップを開くとダウンの入っていないソフトシェル素材が露出します。
これが寒気の侵入を防ぎつつ内部の熱気を外に放出してくれます。
さらに同様のジップが内側にも付いているため 2段階での調整 が可能!
また、フットボックスにもジップが付いている為(ドラフトチューブ付き)、ここから足を出すことで一気に熱放出をすることも可能です。
まとめ
以上、「NEMO / CODA(ニーモ / コーダ)レビュー:初めての山岳用シュラフはこれ一択!!」をお伝えしました。
山岳用のマミーシュラフでありながら CODA がどれだけ快適かおわかりいただけましたでしょうか??
まとめてみると、、
・マミー型なんだけど十分なゆとりのあるデザイン
・保温性を失いにくいプレミアムなダウン
・肌触りの良い裏地使い
・結露しても安心の頭部と足元の防水透湿仕様
・冷気の侵入を防ぎ、首周りを優しく温めるドラフトガード
・細やかな温度調整が可能なベンチレーション
山の上で快適に眠るために、こんなにも沢山の工夫がありました!
もちろん市場には同じくらいのスペックでもっと軽くてコンパクトなシュラフが存在します。
でもCODAほどのスペックで快適性に重きを置いたシュラフってそうそうないんじゃないでしょうか?
これだけの快適性があれば、山の上でもぐっすり眠れて、翌日も元気に行動できるはず!
初めてのシュラフにCODAを選んで、初めてのテント泊登山を最高の思い出にしてみてください!!