STAFFBLOG

スタッフブログ

【Vol.3】山でスマホが壊れたら。読図とナビゲーション

公式

  • facebook
  • twitter
  • line

前回は、山行中のスマートフォン使用不能時など、緊急時に役立つGPSウォッチの「スタートに戻る」機能について、COROSのモデルを例にご紹介しました。

GPSウォッチは使いこなせば便利ですが、山では「絶対」はありません。

GPSウォッチもデジタル機器である以上、故障やバッテリー切れで使用できなくなってしまうリスクと無縁ではないのです。だからこそ、いざという時に身を守る根本的な支えになるのが「地図を読む力(読図)」です。過去の記事でもお伝えしたことがありますが、改めてその重要性を認識したいところです。

地図読みは「特別なスキル」ではなく「基本技術」

アウトドアでの地図読みは決して職人技ではなく「安全に山を歩くための基本技術」です。

読図ができると、以下のようなメリットがあります。

◆ 山全体を俯瞰することができる
◆ ルートの見通しが立てやすい
◆ 現在地の地形が理解しやすい

つまり、単に「道に迷いづらい」だけではなく「落ち着いて状況を判断できる」ことにつながります。

道に迷ったときは、不安や焦りから本来のルートに戻ることが難しいときもあります。その結果、「とにかく降りなければ」と無理に下山しようとしたり、ショートカットをしようとして滑落リスクを高めたり、事態を悪化させることにつながりかねません。行きと帰りでは目に見える景色が異なり、手がかりがない状態では同じ道でも戻ることが難しいものです。

遭難時に最も危険なのは、焦って無計画に動き続けてしまうこと。読図で現在地を「ある程度」把握できるだけでも、心理状態に大きく影響します。

「現在地を見失う前」に確認するのが鉄則

ただ、前提として重要なポイントは「完全に現在地が分からなくなってから、読図だけで復帰するのは難しい場合がある」ということです。

だからこそ、迷う前の行動が大切になります。

分岐ごとに地図を確認する

常に正しい位置を把握することに努めるクセをつけておけば、道を間違ったときも、どこまでは確実に合っていたか、どこから間違ってしまったかを判断しやすくなります。

少しでも“違和感”があれば立ち止まる

違和感のポイントは例えば、道標がない、道が荒れ始めた、急な道の変化など。道の変化に敏感になることも、道迷いを防ぐ上で大切です。

周りの地形と地図を照らし合わせる

地図上の地形や植生と自分がいる場所を見渡したときの情報を照合することで、現在地を推測しやすくなります。急な登りや下りが突然出てきた、といった変化も地図上の等高線の間隔(線と線の幅が狭いほど傾斜が急であることを表しています)を見て、今歩いている道が正しいのかを判断しやすくなります。

これらの「読み方」は互いに関連し合っています。総合的に「読図」していくことで、デバイスに頼り切らずに自分自身をナビゲートすることができるはずです。

スマホやGPSウォッチで画面上の現在地(点)を確認できることと、「自分が今、尾根を歩いているのか、沢を下っているのか」といった地形の理解ができることはまったく別の話です。地形が分かって初めて、GPSや地図アプリの情報を最大限に活かすことができると言えるでしょう。

無理に動かない「ビバーク」という選択

万が一、完全に道に迷ってしまった場合や、状況が悪化した場合は、先述の通り「無理に動かない」という選択が大切です。

特に以下の状況で無理に行動すると、転倒や滑落のリスクが跳ね上がります。

◆ 日没が近い(または夜間)
◆ 悪天候(雨、風、ガス)
◆ 著しい疲労
◆ 天候や疲労にともなう視界不良

このような時は、安全な場所で、ビバーク(緊急野営)をするという選択が命を救う場合があります。そのためには、エマージェンシーブランケット(薄手の保温シート)やビビィ、ツェルト、ヘッドランプ、防寒着や予備の行動食など、最低限の装備を持ち歩くことも大切でしょう。

基本の「き」、事前の「登山届」

仮にビバークをして救助を待つことになった時、最も重要になるのが「登山届(登山計画書)」です。家族や警察に以下の情報が伝わっているだけで、「見つけてもらえる可能性」は格段に上がります。

どこの山へ入ったのか
どんなルートを通る予定か
いつ下山する予定なのか

「登山届(登山計画書)」は、

①YAMAPなど登山アプリ上でのデジタル提出
②各自治体・警察のオンラインフォーム
③登山口のポストに紙の計画書を投函

という方法が挙げられますが、登山・ハイキングを楽しむ多くの方にとっては、今では①が最もポピュラーな方法ではないでしょうか。

届け出の方法も、画面の案内に沿って簡単に行うことができます。今回紹介しているように、スマホが使えなくなってしまい外部との連絡手段が絶たれてしまう可能性もあるので、比較的難易度の低い山であっても、事前に届け出ておくことが大切です。

パニックになって暗闇の中を無理に動き続けるよりも「止まる」こと、そして「待つ」こと、さらに事前に「届け出る」こと。とても基本的なことかもしれませんが、この判断や意識が、あなたの安全を確保し、そして命をつなぐことにもつながります。前回の記事で説明したGPSウォッチによる「来た道を戻る」という選択肢とは異なる手段ですので、どのタイミングでどう判断すべきか、と思われるかもしれません。

大切なことは、現在地、自身の体力、時間帯や天候など把握できる情報から総合的に判断するということでしょう。デジタルデバイスに頼らないアナログスキル・野営スキルは、極力冷静な判断をするうえで心の支えになることでしょう。

STRIDE LABで学ぶ!「地図読み講習会」

STRIDE LABでは高尾店や小田原店をはじめ、定期的に地図読み講習会を開催しています。

初めての方でもわかりやすいように、地図そのものについての説明や、地図には何が書かれているのか、縮尺の見方、地形を読むコツなど、「読図」の基本をレクチャーしています。

基本を覚えれば地図読みは意外と難しくなく、一枚の地図にはたくさんの情報が詰まっているので、読むことができると山の楽しみ方も広がります。

地図読み講習会やファーストエイド講習開催の際は概要を各店のSNSでも発信しております。ぜひフォロー、逐次チェックしてみてください。

STRIDE LAB 高尾店
STRIDE LAB 小田原店

  • facebook
  • twitter
  • line