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低体温症とは?夏でも油断できない「命の危険」

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登山やキャンプ、トレイルランニングなど自然の中で活動しているときに突然体が震えだしたり、手足がうまく動かなくなったことはありませんか?
私は秋の土砂降りのレース後にシバリングまでいったことがあります。すぐに温泉に入ることができ事なきを得ることができましたが、もし一人で山の中で・・・と考えるとゾッとしますよね。
それ、もしかしたら低体温症かもしれません。

■ 低体温とは?

低体温症(Hypothermia)とは、体の中心の体温が35℃以下に下がる状態を指します。体温が下がることで、臓器の働きが鈍くなり、命に関わることもあるとても危険な状態です。

■ どうしてなるの?

意外かもしれませんが、夏でも低体温症は起こります。
特に以下のような場面では要注意です。

汗をかいたあと、風に当たって体が冷える(汗冷え)

雨で濡れたまま休憩する

標高の高い山で気温が急変する

夜間の冷え込みや風が強いとき

エネルギー切れや疲労がたまっているとき

体が「熱を作る」「熱を保つ」機能を超えて冷やされると、どんどん体温が奪われてしまいます。

■ どうなる?予兆と重症度

最初のサインはこんな感じです👇

軽度(35〜33℃)

強い震え(シバリング)

手足のしびれ

判断力の低下

うまく話せない

中等度(33〜30℃)

震えが止まる

混乱、眠気

歩行困難

重度(30℃以下)

意識障害

心拍・呼吸の低下

死の危険

特に「震えが止まった=回復」と勘違いしやすいですが、実は重症化のサインです。

■ 予防方法

天候に応じた重ね着(レイヤリング)

濡れた衣服はすぐ着替える

エネルギー(行動食)をこまめにとる

風を避ける、防風ジャケットを活用

休憩中に体が冷えないようシートやマットで断熱

■ もし、なってしまったら

ソロの場合

風を避けて動きを止めない(震える力=熱を生み出す)

エマージェンシーシートなどで全身を包む

カロリーを摂る(補給食やチョコ、飴など)※誤嚥に注意

ゆっくりと暖かい飲み物を(熱すぎはNG)

仲間がなったら

できるだけ早く体を温める

濡れた服は脱がせて乾いた服に

寝袋・ダウンで保温

低体温ラッピングを行う(下記参照)

■ 低体温ラッピングとは?

低体温になった人を効率よく温めるための応急処置です。
「濡れ・風・冷え」から守り、体温を逃さず保つことが目的です。


低体温ラッピングの手順(5ステップ)

地面からの冷えを防ぐ
断熱マットやザックを敷いて、直接寝かせないようにする。

濡れた服を脱がせる
できるだけ乾いた衣類やタオルに着替えさせる。

エマージェンシーシートで包む
全身をくるみ、熱と風を遮断。首元・足元も忘れずに!

寝袋やダウンで保温
体の熱を閉じ込めるため、上からさらに保温。

可能なら抱き合う
人の体温は最強の暖房。無理がなければ体温をシェア。


補足ポイント

シートは体に密着させない方が保温効果アップ(空気層をつくる)

カイロは低温やけどに注意しながら服の上から使用

意識がないときは強く揺らさない・無理に動かさない


道具がなくても、「何を防ぐか」(冷え・濡れ・風)を意識することで、即席ラッピングはできます。
知っているかどうかで、命を守れる確率が大きく変わります。

■ 役立つアイテムはこれ

エマージェンシーブランケット、エスケープヴィヴィー

レインウェア(ツルギライトジャケット、ヤリジャケット、フェザーレイン)

ホットドリンク対応ボトル(山専ボトル、ナルゲンボトル)

インシュレーテッドマット(スイッチバック、チッパー、深山座布団など)

■最後に

自然の中では「ちょっと寒い」が命取りになることも。
体温管理は命の管理です。特にソロ行動では、すべての判断を自分が担います。だからこそ、準備と知識が何よりも大切。

安全で、楽しい山時間を!

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