2025.07.04
登山で気をつけたい高山病 原因・対策・予防方法 富士山では要注意
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登山で気をつけたい高山病 原因・対策・予防方法
夏山登山シーズン、高山へ出かける方も多いのではないでしょうか。
北アルプス、八ヶ岳、富士山…夏でも涼しく快適な高山ですが、標高2500mを超えるエリアでは「高山病」に注意が必要です。
高山病は、体力や経験に関係なく誰にでも起こる可能性があります。
高山病の症状・原因・予防方法・対策まで、登山初心者〜中級者の方に向けてわかりやすくまとめました。
高山病とは?
高山病とは、空気の薄い高地に急に登ったときに起こる体調不良のこと。
標高が高くなるほど酸素が薄くなり、体がうまく順応できないと、頭痛や吐き気などの症状が出ます。
特に、標高2500mを超えると発症リスクが高まり、富士山や北アルプスでの登山では要注意です。
高山病のよくある症状
高山病の初期症状は、風邪や疲れとも似ており、見逃されがちです。
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頭痛(もっとも一般的な症状)
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吐き気・食欲不振
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倦怠感・だるさ
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めまい・ふらつき
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浅い呼吸・寝つきが悪い
さらに悪化すると、高所脳浮腫や高所肺水腫といった命にかかわる重篤な症状を引き起こすこともあります。
なぜ高山病になるの?原因は?
高山病の主な原因は、標高が高くなることで気圧が下がり、体内に取り込める酸素の量(酸素分圧)が減ることです。
この低酸素環境に体がうまく順応できないことで、さまざまな体調不良が引き起こされます。
標高が上がると「吸える酸素の量」が減る
空気中の酸素濃度は、標高にかかわらず約21%で一定ですが、標高が上がると気圧が下がり、「酸素分圧(体に取り込める酸素の量)」が減っていきます。
たとえば、標高3000mでは気圧は約70%に低下し、呼吸1回あたりに取り込める酸素は、平地の約70%程度になります。
体は本来、時間をかけてゆっくり順応していきます(=高度順応)が、急激に標高を上げると、体が適応できず、高山病の症状が出やすくなります。
高山病のよくある原因
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急激な高度上昇
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睡眠不足や体調不良、疲労
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脱水症状
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冷え・寒さ
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飲酒や喫煙の影響
体力や年齢に関係なく、健康な人でも発症する可能性があるのが高山病の怖いところです。
高山病にならないために 予防方法
登山前にできること
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高度順応を意識したルートにする
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可能なら前泊して体を慣らす
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ピークを狙わず高所に泊まることで順応を進める
登山中にできること
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無理のないペースで歩く(息が切れないスピード)
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深呼吸を意識する(酸素をしっかり取り込む)
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こまめな水分補給(脱水防止)
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食事・行動食をしっかりとる
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寒さ対策を忘れずに(冷えも体調悪化の原因)
万が一、高山病になってしまったら?
最も効果的な対処法は「標高を下げる」ことです。
応急処置・対処法
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すぐに行動を中止して安静に
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水分をとる・体を温める
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酸素吸入(酸素缶などがあれば活用、あくまで応急的な対処)
「少し休めば大丈夫」と思わず、症状が続く場合はためらわず下山をしましょう。
高山病の予兆に気づく「客観的な評価」
スポーツウォッチ(COROS)を活用しよう
高山病の怖さは、「気づいたときにはもう手遅れ」になってしまうことです。
だからこそ、自分の体の変化を主観だけに頼らず、客観的な数値で早めにキャッチすることが大切。
そこでおすすめなのが、スポーツウォッチ(COROSなど)に搭載されているSpO₂(血中酸素飽和度)や心拍数の測定機能です。
SpO₂とは? 高山病とどう関係する?
SpO₂(エスピーオーツー)とは、血液中にどれだけ酸素が取り込まれているかを示す割合のこと。
平地では通常96〜99%が正常ですが、標高が上がると空気中の酸素が薄くなるため、自然に数値が下がっていきます。
たとえば、3000mを超える高所では85〜90%程度が一般的な数値。
ただし、人によっては急に70%台まで下がり、体調に異変が出ることもあります。
SpO₂と心拍数を使って体の変化に気づこう
COROSのAPEX 2 ProやVERTIX 2には、血中酸素濃度(SpO₂)や心拍数を測定する機能が搭載されています。
これらを活用することで、自分の体が高所にどれだけ順応できているかを数字で確認できるため、登山中の体調管理に役立ちます。
登山での活用例
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SpO₂が75%以下で、頭痛や吐き気などの症状がある場合は、すぐに行動を控えたり下山を検討しましょう。
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安静時の心拍数が普段より明らかに高いときは、無理せずペースダウンや休憩を増やすのがおすすめです。
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日々の体調の良し悪しを数字として記録しておくと、次回の登山計画やリスク管理に活かせます。
数値はあくまで目安。体調や症状と合わせて判断を
COROSのSpO₂や心拍数は非常に便利ですが、医療用機器ほどの正確さはありません。
寒さや装着の仕方で数値が変わることもあるため、数値だけに頼るのではなく、自分の体の感覚や症状も合わせて総合的に判断することが大切です。