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【Dragon’s Back Race挑戦記】世界屈指の山岳ステージレースで見えた景色とは?

横浜店

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こんにちは!スタッフの安田です。

2025年の9月にウェールズで開催された山岳ステージレース【Dragon’s Back Race】に参戦してきました!今回はこのレースの様子についてご紹介します。
このレースは「世界で最も過酷な山岳レース」と呼ばれるほど特別な存在です。私自身10年ほど前に存在を知ってから憧れ続けてきた大会であり、挑戦するにあたり資金面・時間面で多くの準備をしてきました。ようやく現地に立ち、実際に走ってきたからこそ伝えられる「コースの厳しさ」と「走る楽しさ」を、STRIDELABブログを通してお届けできればと思います。

 

Dragon’s Back Raceとは?

Dragon’s Back Raceは1992年に初開催され、現在は2年に1度ウェールズで行われる山岳ランニングのステージレースです。ウェールズの北端の街「コンウィ(Conwy)」から出発して、スノードニアをはじめブレコンビーコンズといったウェールズを代表する山々を駆け抜けて首都「カーディフ(Cardiff)」まで、約380km・累積標高16,000m以上を6日間かけて縦断します。
特徴的なのは、ただ距離が長いだけではなく、

• トレイルが存在しない荒野や稜線を進む

• ナビゲーション能力が問われる

• 制限時間内に宿泊地まで自力でたどり着く

といった要素です。
道標やマーキングがほとんどないため、地図とコンパスを頼りに、岩稜帯や湿地帯を走り抜ける必要があります。その厳しさから完走率は例年5割前後。多くのランナーが故障やタイムオーバーでリタイアしてしまう、まさに「挑戦すること自体に価値がある」レースです。

 

 

 

コースと地形の特徴

実際に走ってみると、ウェールズの自然は日本の山岳レースとはまた違った顔を見せてくれました。

 

初日:スノードニア国立公園 切り立った岩稜帯とガレ場のアップダウンが続き、日本でいえばアルプスの縦走に近い感覚。マーキングがないため、ルートファインディングを間違えるとすぐに体力を削られます。
1日目の行程は距離:50km、累積標高:3800m。2日目は距離:60km、累積標高:3200m。

 

中盤:カムブリアン山地 レースの3日目・4日目に走るエリアで、レース前半と比べるとアップダウンは少ないのですが、草原や湿地帯が視界の果てまで続くようなエリアです。走れるはずが、太ももまで沈むような泥や藪に苦しめられ、思った以上に前へ進めません。身体的にはもちろん、精神的に試される区間でした。
3日目の行程は距離:66km、累積標高:2900m。4日目は距離:70km、累積標高:1900m。

 

終盤:ブレコンビーコンズ国立公園 広大な丘陵地帯のアップダウンを繰り返すのがブレコンビーコンズの山々の特徴で、レース5日目にやってくる『試練の道』です。
初日の山々のように岩の荒々しさは少ないですが崖のように切れ落ちてできた丘陵地の稜線を繰り返します登り下りをして進みます。ここを抜けると6日目は丘陵地帯から次第に街へと降りていく、長かった道のりの終わりが少しずつ近づいてくるのを感じながら、ゴールのある「カーディフ城」へ向かっていきます。

特に印象に残っているのは「道がない」こと。日本の山岳レースでは整備されたトレイルを走ることが多いですが、Dragon’s Back Raceでは「ただの斜面」や「湿原」を進まされる場面が頻繁にありました。GPSや地図読みスキルがなければ、容易にミスコースをしてしまいます。とてもアドベンチャー要素の強い「山岳レース」といえます。

 

走ってみて感じたこと

今回の挑戦を通して感じたことをいくつか共有します。

●シューズと装備の重要性
岩場・草原・湿地と地形が目まぐるしく変わるため、どんな路面でも足を守ってくれる耐久性、クッション性、グリップ力のあるシューズは不可欠でした。加えて天候。よく風が吹く影響か天候が変わりやすく、雨が降っていたかと思えば急に晴れ間が出てきたり、晴れているのに雨が降り続けたり1日の中でコロコロと天気が変わりました。そのためレインウェアや防寒対策アイテムは必須で、濡れた中でもパフォーマンスを落とさずに動き続けることに大きく貢献してくれました。
これらの装備をしっかり吟味して用意しておいたことがゴールまでたどり着けた大きな要因だと思っています。

●ナビゲーションスキルが生命線
どんなに速く走れても、ルートを外せば体力も時間も奪われます。地図から地形を読み取る・行く先を読み解くナビゲーションスキルは必須となります。選手の多くはGPSウォッチにGPXデータを入れて走っているようでしたが、私はスマホの地図アプリにGPXデータを入れてコースを確認していたため、細かな分岐があるようなところでも大きなルートミスなく走ることができました。これは完走に直結した大きな武器だったと思います。

●心の持ち方が最後を決める
6日間という長さの中で、必ずどこかで「リタイヤ」の文字が頭をよぎる瞬間がやってきます。私にとっては中盤の湿地帯がそれでした。足が取られ、下りの際に無駄にブレーキをかける力を使っていたせいで膝周りが浮腫んで痛み、ペースを大きく落としてしまいました。それでも「一歩進めば必ずゴールに近づく」と言い聞かせ、仲間や応援してくれた人たちの存在を思い出すことで、踏みとどまることができました。

 

この挑戦を振り返って

Dragon’s Back Raceは「速さ」を競うレースであると同時に、「自分自身との対話」を続ける6日間でもありました。特にレースの後半戦、疲労と色々なところの痛みの中で「どうすれば前に進み続けられるのか?」を自問自答して、思いついたことはなんでも試して進んでいました。また、世界中から集まったランナーと同じフィールドに立ち、言葉を超えて「走る」という行為で繋がれたことも、かけがえのない経験です。拙い英語でも声を掛け合うことで笑顔になって、また走り出すため元気をもらうなんていうことが度々ありました。
完走した達成感はもちろん大きなものでしたが、それ以上に「これからも走り続けたい」と思える気持ちを強くしてくれました。

最後に

Dragon’s Back Raceは決して気軽に参加できるレースではありません。時間、資金、体力、すべての面で大きな準備が必要です。それでも「本当に挑戦する価値があるのか?」と問われれば、私は迷わず「Yes」と答えます。日本の山岳ランナーにとっても、新たな世界を知る扉となる大会だと思います。100マイルのレースを完走して、次の目標を探しているという人はぜひ次の目標として挑戦してみてほしいです!

このブログが、皆さんの次の挑戦へのヒントやモチベーションになれば嬉しいです。ここまで読んでいただきありがとうございました。次回はDragon’s back Raceで実際に使用したシューズやウェア、必携ギアのレビューを詳しくご紹介します。また、STRIDE LAB横浜店では、私が実際に使った装備や、海外レース挑戦に向けた準備の相談もお受けしています。ぜひお気軽にご来店ください。

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