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【完走記録】彩の国100kmトレイルランニング|メンタルと向き合った30時間の挑戦

横浜店

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「Mt.FUJI100マイルよりキツい」と言われる100kmのトレイルランニングレース、ご存じですか?
それが、埼玉の山々をぐるっと巡るトレニックワールド in 彩の国100km

距離は約108km、累積標高6,650m。完走率も他のトレイルランニングレースよりも低めで、なかなかのドSレース。

この記事では、そんな大会に4回目の挑戦でギリギリ完走できた私のリアルな体験を、ちょっと感情多めに綴ってみました。

土曜は雨、日曜は蒸し暑い中での地獄のようなアップダウンが続くトレイル。でも、なぜかまた出たくなってしまう魔力がある。それが“彩の国”。

これから出ようか迷ってる方、トレイルランに興味がある方、「自分でも走れるのかな?」って思ってる方へ。ちょっとでも背中を押せたら嬉しいです。

彩の国オフィシャルサイトより

トレニックワールド彩の国100km 完走記録

4度目の挑戦、彩の国

2025年5月16-17日。「彩の国100km」4回目の挑戦。初挑戦の2019年はなんとか完走。でもその後はDNF、DNFと撃沈続き。

「今年こそは」と気合いを入れて臨んだ第10回記念大会。コースは初回と同じ“いつもと逆回り”。なんと、一部新ルートまで追加されているとのこと。もうこれはリベンジせずにはいられない。

私にとってこの大会は単なるウルトラトレイルではなく、心の中の“勝手な宿題”だったのかもしれない。DNFの後ろめたさをずっと引きずっていた大会でした。

「絶対完走して、今度こそ彩の国を卒業するんだ!」そんな想いを胸にスタートラインに立った。

Mt.FUJI100マイルよりキツい!? 108km、6,650mD+

正直、これまで何度かMt.FUJI100マイルも走ってきましたが、「彩の国100kmのほうが圧倒的にキツい!」と思う。

とにかくゲキ上り&ゲキ下りのオンパレード。滑る粘土質の地面、手を使わないと登れない岩場。足を止めたら最後、そのままDNF一直線の地獄コース。

今回も例外じゃなかった。土曜は雨。日曜はジメジメした蒸し暑さ。自然ってやっぱり容赦ない。

Northループ:雨に濡れながら、ぬかるみと格闘

レース前から、ぽつぽつと雨。やがて山の地面はドロドロに。100マイルの皆さんが早朝スタートしていたため、彼らが走った後でさらにぐちゃぐちゃになっているところもありました。(100マイルの方、尊敬します。)

上りではズルズル、下りではヒヤヒヤ。気を抜くと滑って尻もち確定。体力だけじゃなく、集中力まで持っていかれる。斜面を前転しているランナーもいましたね。。。

そんな中でも「今日は走れてるぞ」って感じられたのは、足元の安心感のおかげ。ALTRAのTIMP 5 BOAは、ぬかるんだトレイルでもしっかりグリップしてくれた。BOAダイヤルで微調整できるのもありがたかった。

特に雨が降っている時は紐の調整が難しく、BOAダイヤルならパチっ、クリッっと調整できるので今回とても重宝しました。

雨で冷えた体には、霧雨がむしろ心地よかったりもして。このくらいのコンディション、実は嫌いじゃないし、これまでの彩の国で一番コンディションが良かったかもしれません。

頭をよぎる、仕事と仲間と“背負っているもの”

走っていると、ふとした拍子にいろんなことが頭をよぎる。店のこと。スタッフのこと。応援してくれてるお客さんや家族のこと。

「こんなことしてていいのか?」と思う反面、「だからこそ意味がある」と思う自分もいる。

スタッフが店を守ってくれてる間、私がやるべきことは“逃げない姿”を見せることなんじゃないか──大袈裟ですね。

ただ、お客様の中にはこれから色々なことにチャレンジされる方、したい方がたくさんいらっしゃるようで、その方々に向けて52歳のおっさんが面白いことをやっている姿を見せるのも、皆さんの何かのきっかけになるんじゃないかな?と考えている。

そう思ったら、不思議と足が前に出る。

11時間で戻った“罠の地”ニューサンピア

気がつけばNorthループを11時間で回って、早々にニューサンピアに帰還。

でもここが私にとっての最大の“落とし穴”なんです。ゲキ上りでもゲキ下りでもなく、ニューサンピアなのです。

過去にここでぬくぬく1.5時間もくつろいで、心が折れてリタイアした経験あり。ニューサンピアに戻ると周りもリタイアしたい人もいるので、その空気に飲まれるのです。

だから今回は徹底作戦。「体育館には入らない」「補給したら即出発」──カレー3杯とおしるこでチャージして、15分でSouthループへGO。

ここからが、本当の戦いの始まりだった。

Southループ:ここからが本当の勝負

ここからが本番。Southループ、ホントに別物です。

アキレス腱が伸びきるような急登、滑って落ちるんじゃないかって下り、手を使わなきゃ登れない岩場。
「はいはい、これが“彩の国”だよな!」って笑えてくるくらい、キツい。走るってより、もはや登山部。

でも、1周目を11時間で回れたおかげで、残りに20時間も使える計算に。メンタル的にちょっと余裕があった。

・・・と思ってたけど、関八州の上りで完全に足が止まる。時計を見るたびに焦る。でも足が動かない。
桂木観音から高山不動まで、たった8kmに3時間半もかかってしまった。これはさすがにヤバい。

やっぱりメンタルってやつが一番の敵

足が動かないと、どんどんネガティブな声が脳内に湧いてくる。「もう無理だ」「今年もダメか」「帰ったら何て言おう」──言い訳も思いつくし、正当化もできる。でも、それはそれでかなり悔しい。この時もスタッフの顔が浮かぶ。。。

ちょうど関八州の上り、周りに誰もいない一人旅だった時、空を見上げたら雲の切れ間から月光が差していて。なんかあの2019年の初完走の時の景色に似てて、グッときたよ、グッと。

あのときも、こんなに辛かった。脚も動かず、何度も止まりそうだったけど、最後まで行けた。なら、今も行けるはずだろ?って、自分に言い聞かせたのです。

出会いと、みかんゼリーの神

その後、竹寺からkinocaに向かう途中の嫌なアップダウンで、心がポキッと折れそうに。
「間に合わないかも…」って思い始めたその時、後ろから追いついてきたのは…なんとお店のお客さんたち!

「このペースならギリギリ間に合いますよ!」って、爽やかに声かけてくれて、
さらにみかんゼリーまで差し出してくれるという神対応。

ゼリー食べたら、体が一気に動き出した。完全にハンガーノックだったっぽい。いや、食べるのって大事ですね!

そこからはそのお客さんと一緒にラストまで進む。知らないうちに、心も体も回復していくのを感じた。

ゴールは、やっぱり最高だった

彩の国のゴールって、ほんと特別なんです。皆さんが祝福してくれる、人が待ってくれてる。拍手、ハグ、涙、笑顔──全部ある。

そしてやっと、やっとの思いでフィニッシュゲートをくぐる。これまでの挑戦、DNF、全部が報われた瞬間だった。

主催者さん、ボランティアのみなさん、応援してくれた全ての人、そしてスタッフたち、ありがとう!

「今日完走しなかったら、一生できないぞ」って、自分に言い聞かせてよかった。ギリギリでも、ちゃんと帰ってこれた。

この大会、クセになります

レース中は何度も「もう絶対出ない!」って思った。でも、1日経ったら「また出たいかも…」ってなってる。不思議な大会。

辛いのに、なぜかまた出たくなる。自分の限界と向き合えて、心も体もボロボロになるのに、それが楽しいっていう矛盾。

でも、そういうのが“彩の国”なんですね。

装備とか工夫とか

今回のウェアは白でまとめて、爽やかに走れました。

いつもは途中で着替えますが、今回は最後まで同じ格好。これが意外と良くて、着替えないぶん余計な迷いが減ったかも。

あと、初導入の“湯渡し100の手ぬぐい”が大正解。川で濡らして頭にかぶるだけで超スッキリ。夏の必需品になりそう。

卒業…したはずなんだけど?

4回目のチャレンジでようやく完走。これで晴れて彩の国“卒業”…のはずだった。

でも、なんかまた出たくなるんですね

「次はもっと上手く走れるかも」
「もうちょっと楽に行けるかも」
そんなことを考えてしまってる時点で、もう中毒です。

ありがとう彩の国。また、きっと会おう。

2勝2敗のイーブンか。これは勝ち越せ!ということなのか?

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