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【安定のクッション×グリップの組み合わせ】OLYMPUS275で臨んだ6日間のステージレース

横浜店

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こんにちは横浜店の安田です。

今回紹介するのは25FWシーズンより登場したトレイルシューズALTRA【OLYMPUS275】です。
私がこの9月に挑戦した「Dragon’s back Race 2025」で実際に使用したシューズで、今回のレースにOLYMPUS275を選んだ理由や実際に使ってみた様子について紹介いたします。
世界で最も過酷と称される山岳ステージレースを走り切るうえで、なぜこのモデルを選んだのか。そして実際に着用してどのように役立ったのか。レース中の体験を交えながらレビューしていきます。

※Dragon`s Back Raceの詳細については以下のリンクからご確認ください!
https://stridelab.jp/yokohama/staffblog/dragons-back-race-challange.php

 

なぜOLYMPUS275を選んだのか?

Dragon’s Back Raceはウェールズの山岳地帯を6日間で縦断する約380kmのステージレースです。コースはGPSを辿りながら、時には道のない荒野を進みます。岩や藪はもちろん、湿原地帯のような過酷な環境の中を長期間にわたり行動することがあらかじめ想定できていたので、シューズには以下のことを求めました。

・高い耐久性

今回出場した「Dragon’s Back Race」が開催されるウェールズの地形は多様で、刺々しい岩場もあれば、足元をとられる苔の湿地、ぬかるんだ牧草地帯まであります。加えて道のないところを進むとなると足に岩や低木が絡んでくることが当然のように起こると想定していました。6日間という長丁場のレースの序盤でシューズに穴が空いたり、アッパーを引き裂かれてしまったら死活問題になります。
その点、OLYMPUS275のアッパーにはケブラー®繊維と高強度ポリアミドを組み合わせた 【Matryx®】 が採用されています。一般的なマイクロファイバーアッパーに比べて5倍もの耐擦傷性を持っていると言われている素材で、擦れや引き裂きによるダメージを受けづらいのが特徴です。
今回のレースのように長丁場の過酷なトレイルやテクニカルセクションが多いコースにはもってこいだと思ったわけです。

・クッション性と安定感

先ほどもお伝えしたように、Dragon’s Back Raceの開催された雨ウェールズの地形はバリエーションに富んでいて路面の硬さやソールの噛み具合の異なります。岩やアスファルトのような硬い路面に対しては衝撃を緩和してくれる効果を、湿地やぬかるみの多い草地では踏み込んでもグラつかない安定感を。コースの路面が濡れていても乾いていても、しっかりと噛んでグリップしてくれるソールが必要でした。
オリンパス275のミッドソールに採用されている圧縮成形EVAは、柔らかすぎずコシのある安定感が高いミッドソールです。加えて幅の広い靴底面がしっかりと地面をとらえてくれることでグラつかずに一歩一歩踏み出すことができます。そしてソールにはVibram® Megagrip を採用しているため、濡れた路面を信頼して足を置いていける安心感があります。今回のレースコースのように様々な路面状況が考えられる場合には高いグリップ力は大きな安心材料でした。

実際に使用してみて

Dragon’s Back Raceの6日間、OLYMPUS 275は期待通り、いやそれ以上の働きをしてくれました。地形ごとに感じた使用感を振り返りながら、このシューズの特性を紹介していきます。

・ロード・舗装路での使用感

レース序盤は舗装路からスタートする日も多く、そこからトレイルへと移行していく展開が続きました。OLYMPUS 275の33mmというスタックハイトは、長時間のロード走行でも足への衝撃を和らげてくれます。クッション性が高いシューズは「反発が少なくて走りにくい」と感じることもありますが、圧縮成形EVAのコシのある感触は、ロードでも推進力を失わず、テンポよく走り続けることができました。アスファルトのような硬い路面が続く区間では、このクッション性が足裏の疲労を軽減してくれていることを実感します。特にマルチデイレースでは、翌日以降のダメージ蓄積を抑えることが完走の鍵になるため、この「守ってくれている感覚」は大きな安心材料でした。

・テクニカルな岩場・ガレ場での使用感

ウェールズの山岳地帯には、足の置き場を選びながら進むような岩場のセクションが数多くありました。OLYMPUS 275のワイドなソール形状は、不安定な岩の上でも接地面積をしっかりと確保してくれるため、グラつきを最小限に抑えてくれます。足裏全体で岩を捉えている感覚があり、「ここに乗れば大丈夫」という判断がしやすかったです。Vibram® Megagripのグリップ力も素晴らしく、濡れた岩場でも信頼して足を置くことができました。特に下りの岩場では、滑りやすい状況でもソールがしっかりと噛んでくれることで、スピードを落とさずに通過することができたのは大きなアドバンテージでした。

・マッドセクション・ぬかるみでの使用感

ウェールズといえば雨。レース中も雨に見舞われ、牧草地帯や湿地のぬかるみを進む場面が何度もありました。ここでもOLYMPUS 275の安定感の高さが際立ちます。幅広のソール形状が泥の中でも踏ん張りを効かせてくれるため、足を取られて転びそうになることが少なかったです。アウトソールのラグパターンも泥抜けが良く、泥が詰まって滑りやすくなるという状況にはなりませんでした。湿った草地でもVibram® Megagripがしっかりとトラクションを生み出してくれたため、滑りながらも前に進むことができました。ぬかるみの中を長時間走っていると、どうしてもシューズ内に水が侵入してきますが、OLYMPUS 275は水はけも良く、不快感は最小限に抑えられていたと思います。

・急登・急降での使用感

Dragon’s Back Raceでは1日に2,000m以上の累積標高を登る日もあり、長い急登と急降が続きます。急登では、OLYMPUS 275の安定感のあるクッションが「踏み込んだ時の乗り込みやすさ」として伝わってくる感覚があり、登りでも推進力を感じることができました。また、幅広のソールが足全体をしっかりとサポートしてくれるため、疲労してきた後半でも安定した登りを維持できました。急降では、クッション性が衝撃を吸収してくれることで、膝や足首への負担が軽減されていることを実感しました。特にレース後半、疲労が蓄積してきた状態での長い下りでは、「このシューズで良かった」と心から思える瞬間が何度もありました。

・5日間使い続けた耐久性

レース5日目までOLYMPUS 275を使い続けましたが、アッパーの破れや大きなダメージは一切ありませんでした。岩に当たり、低木に引っかかり、泥まみれになっても、Matryx®アッパーは健在。アウトソールの摩耗も想定範囲内で、グリップ力の低下を感じることもありませんでした。

時にはシューズの使い分けも重要

実は最終日、私はシューズをMont Blanc Speedに履き替えました。これは「OLYMPUS 275に不満があった」わけではなく、最終日のコースはロード区間が多く、スピードを出して走り切りたいという思いがあったからです。OLYMPUS 275はクッション性と安定性に優れていますが、ロード主体のコースでは軽量で反発力のあるMont Blanc Speedの方がスピードが出ます。そこでスペアシューズとして持っていっておいたMont Blanc Speedを戦略的に使用してみたというわけです。
結果として、この判断は正しかったと感じています。Mont Blanc Speedの軽量性と反発力が、最終日のロードセクションでスピードを維持する助けになりました。特に最後ゴール手前の1キロからのラストスパートはしっかりと推進力を出してくれました。この経験から学んだのは、「万能なシューズは存在しない」ということ。そして、「状況に応じて最適なシューズを選ぶことの重要性」です。OLYMPUS 275は「5日間を安心して走り切るための相棒」として、その役割を完璧に果たしてくれました。

OLYMPUS 275をおすすめしたいシーン

Dragon’s Back Raceという極限環境での使用を通じて、OLYMPUS 275が最高のパフォーマンスを発揮するシーンが見えてきました。

・ウルトラトレイルレースに挑戦するランナー

 

100kmを超えるような長距離レースでは、クッション性と耐久性が完走の鍵になります。OLYMPUS 275は、長時間走り続けても足を守り続けてくれる安心感があります。また、走る距離が伸びてくればロード、トレイル、岩場、ぬかるみ…様々な路面状況が混在するコースになっていきます。OLYMPUS 275は、どんな地形でも安定したパフォーマンスを発揮してくれる安心感があります。特に初めてウルトラトレイルを走る方や、「速さ」よりも「安心して走り続けられること」を重視するランナーには、OLYMPUS 275の特性がぴったりハマるんじゃないかと思います。

・複数日にわたって行動するハイカー・ランナー

 

複数日にわたる山行では、翌日以降のダメージを最小限に抑えることが重要です。OLYMPUS 275のクッション性は、疲労の蓄積を軽減し、最終日まで行動し続ける力を残してくれます。またハードな環境に身を置いたとしても、壊れずに履き続けられるだけの耐久性があるのは複数日にわたって行動する人間にとっては重宝します。

さいごに:信頼できる「相棒」としてのOLYMPUS 275

Dragon’s Back Raceという世界で最も過酷と称される山岳ステージレースを通じて、OLYMPUS 275は私にとって「信頼できる相棒」であることを証明してくれました。OLYMPUS 275は、長時間・長距離を動き続けるハイカー・ランナーが「このシューズなら大丈夫」と信じられる性能を持っています。シューズ選びは、「何が足りないか」ではなく「何を信じられるか」だと思います。あなたが挑戦しようとしている山行やレースで、「最後までやり遂げること」を第一に考えるなら、OLYMPUS 275は最良の選択肢のひとつになるはずです。
今回はOLYMPUS 275のレビューをお届けしましたが、次回も引き続きレース中に支えてくれたアイテムたちを紹介したいと思います。
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