2024.02.01
徹底解剖!! 〜メリノウール編〜
こんにちは。STRIDE LAB OFFICIAL のニシカワです。
ベースレイヤーの素材として、化繊と並んで完全に定着したメリノウール。
保温性がある、汗冷えしにくい、臭わない、などなど何となくのメリットは皆様すでにご存知かと思いますが、実はまだまだあるんです!メリノウールの魅力!
価格が高い、虫害、洗濯で縮む…など欠点もなくはないですが、それを補って余りあるくらいメリノウールには魅力が盛り沢山。
このブログを読めば、きっとあなたもメリノウールがもっと好きになるはず!
では早速その魅力を一つ一つ見ていきましょう。
メリノウールの魅力⑨選
魅力その① 繊維が細い
メリノウールは約3,000種いるといわれる羊の中でも細く、柔らかい繊維を持っています。
羊毛の繊維の太さは(μm)という単位で表すのですが、メリノウールは 14~24μmほどと非常に細く、
アウトドアウェアのベースレイヤーとして取り入れられることが多いエクストラファインメリノは18.5~19.5μmほどしかありません。人間の髪の毛が50~100μmほどと考えると、メリノウールが如何に細くて繊細なタッチなのかが良くわかると思います。
魅力その② 保温性
ウールってそもそも何で暖かいのご存知ですか?それは毛の縮れ(クリンプ)によって空気を溜め込むことが出来るから。縮れることで繊維通しが絡み合い、その中の空気(デッドエア)が外気をシャットアウト(断熱)してくれるってわけです。ダウンジャケットを着たり、布団にくるまると暖かいのと同じ原理です。
で、メリノウールはそのクリンプが一般的なウールに比べても多い。それはもうグリングリンです。その分多くの空気を溜め込むことが出来るから厳しい環境下でも暖かいんですね。
魅力その③ 吸湿性と吸水性
メリノウールは非常に優れた吸湿性と吸水性を備えますが、その秘密はウールそのものが持っている複雑な繊維構造にあります。
メリノウールは上でも触れたように一般的なウールよりも繊維が細く、かつクリンプも多い複雑な形状により高い吸水性を備えています。
加えて、ポリエステルなどの化学繊維とは異なり、繊維内に蒸気を取り込む機能=吸湿性まで有しています。
つまり運動強度の高いアクティビティでも活躍する優れた汗処理能力を持っているというわけです。
ちなみに、繊維にどれくらい水分が含まれるかを示す指標に公定水分率というのがあるのですが、ウールは綿の約1.8倍、ウールと並んでベースレイヤーの定番であるポリエステルの38倍もの水分を含むことが出来ます。この数値から、如何にウールが吸湿性・吸水性に優れた繊維であるかが良くわかりますね。
参考;日本化学繊維協会
魅力その④ 汗冷えのしにくさ
登山やBCスキーなどの行動と停滞を繰り返すアクティビティにおいて、汗冷え問題は非常に重要なテーマです。とりわけ気温の低い秋冬の時期は如何に汗冷えによる体温低下をなくしていくかというのが大きな課題ですよね。
この課題を解決するのにもウールの繊維構造が活きてきます。「ウールは汗冷えしにくい」というのは、ウール繊維の疏水と親水のバランスに優れた構造によるものから来ています。
ウール繊維が繊維内に水分を貯め込むことが出来るというのは既に述べました。これは繊維内のコルテックスという細胞が親水性で水分を吸着するからです。
しかしウールの表面はスケールという鱗状の表皮で覆われており、こちらは反対に疎水性で水を弾きます。殻の中に水を閉じ込めているようなイメージですね。
この矛と盾のような相反する性質を持つハイブリッド構造により、地肌が濡れていることを感じにくい。つまりは、汗冷えしにくさに繋がっているというわけなんです。
魅力その⑤ 夏もイケる(優れた調湿能力)
ウール素材と聞くと秋冬のイメージが強いですが、夏場の暑い時期でもメリノウールはオススメです!
モッフモフの暑苦しい見た目からは想像しづらいですが、メリノ種は-20℃から極寒から35℃の灼熱の環境下においても自然に体温を調節して過ごします。この秘訣も同じくウールの持つ繊維構造によるものなんです。
ウール繊維の表面を覆っている鱗状のスケールは、なんと湿度を感じると松ぼっくりのようにパカっと開いて水分を内部に取り込んでくれるんです!
おまけに溜め込んだ水分は外気に向かって蒸発し、蒸発する際の気化熱で繊維自体の温度も下げてくれちゃう。これってすごくないですか!?
こんな機能素材他にあります??
メリノウールの断面 出典:日本化学繊維協会
繊維の細いメリノウールはスケールも多いので、その分どんどん湿気と汗を逃して、夏場でもドライで快適な着心地を提供してくれます。
魅力その⑥ 抗菌防臭能力
メリノウールを選ぶ理由がこれって方も少なくないはず!
泊まりでの山行や、ランニングなど発汗量の多いアクティビティで気になるのが活動後の衣類の嫌な匂い。誰とも会わず直行直帰できたらいいんですがそうもいきません。帰りの電車で「匂ってないかなぁ」なんて余計な心配はしたくないですよね。
最近は抗菌加工をした化繊のベースレイヤーも豊富ですが、使用や洗濯による経年劣化がどうしても避けられないように個人的には感じます。
その点メリノウールは天然繊維のため、免疫機能による抗菌作用が備わっており、悪臭の原因となる細菌を繁殖させません。さらに匂いの元となる分子を吸湿するのと一緒に繊維内に閉じ込めるため、そもそも細菌とくっつきにくい=匂わないというわけです。

イメージ図 吸湿する際にニオイ分子も一緒に繊維内に閉じ込め、菌と結び付かない
魅力その⑦ 弾力性に優れる
メリノウールはバネのように伸び、そして元に戻る力を備えています。
ウールはクリンプ(縮れ)があることは既にお伝えしましたが、ウールはこのクリンプによって弾力性を獲得しています。
クリンプの分子構造は螺旋状になっており、分子と分子を繋いでいる鎖が隣の鎖とも強力につながっています。それによって繊維を引っ張ると30%も伸び、離すと元に戻ることが出来るんですね。
出典:NIKKE
メリノウールは普通のウールと比べてもクリンプが多いため、その分ストレッチがよく効き、シワになりづらく、型崩れもしにくいです。つまり体にピタッとフィットして動きに追従することが求められるベースレイヤーには最適ってことですね。
魅力その⑧ 燃えにくい
ウールは人の髪の毛と同様に18種類のアミノ酸が結合したケラチンというタンパク質でできています。
タンパク質はその構成分子に燃えにくい窒素を多量に含んでいることと、ウールの高い吸湿性によって繊維内に水分を含んでいることから非常に燃えにくい難燃繊維として認められています。さらに燃えても広がらず炭化するだけです。
その難燃性が評価され、旅客機の内装に使用されたり、江戸時代の火消しの羽織にもウールが使用されていたそう。
魅力その⑨ UVプロテクション
過酷な環境下で生き抜くメリノウールには、天然の紫外線遮蔽機能まで備わっています。UVカット素材を繊維に練り込んだり、薬剤につけたりする必要はなし。デフォルトで紫外線をカットするっていうんだからすごいですよね。
まさにアウトドアでのウェアにはもってこいの素材で、高所での山行など過酷な環境下であればあるほどメリノウールの恩恵を受けれるでしょう。
メリノベースレイヤーオススメ3選!
STRIDE LAB にも勿論メリノウールのベースレイヤーが沢山!
今回はその中から厳選したオススメをさらっとご紹介します。
1. ibex / ウーリープロテッククルー
無撚糸紡績法であるNuyarn® テクノロジーを使用したベースレイヤー。従来のリングスパン製のウール製品と比較して、耐久性が8.8倍、弾力性が85%向上など驚異的なスペック!極上の着心地とタフさを両立した死角なしの最強ベースレイヤーです。
2. STATIC /RAW LW ショートスリーブ シャツ
RAW : Real Activated Wool ( 真に機能を発揮するウール )の名前の通り、ラバーレ加工とい特殊な防縮加工でメリノウールの良さを最大限発揮しながら、ウールの懸念点である縮みを解消しています。ベースレイヤーとしてはややリラックスしたフィットなので街着としても着たいという方にもオススメ。
スラブ糸っぽい凹凸感のある生地も表情が出て良いですね。同生地で展開しているロングスリーブやフーディも同じくオススメ。
以上メリノウールの持つ魅力(実はこれでも一部)をお伝えしました!
皆さんはいくつご存じでした?これだけ多機能かつハイパフォーマンスな素材って本当に他にないですよね。
このブログを読んで、少しでもメリノウールに興味を持ってくれた方は、ぜひお手に取ってその良さを実感して見てください。すぐにその良さが分かるはず!!!